NTTドコモは、スマホに蓄積されたデータから個人の免疫力変化をAIが予測する「免疫力推定AI」を開発。2023年11月に同社のヘルスケアサービス「健康マイレージ」の追加機能としてリリース予定と発表しました。
NTTドコモは言わずとしれた通信業界の最大手。主軸である通信・データ関連事業だけでなく、IoTやAI、セキュリティ、マーケティング、災害対策など幅広いサービスを手掛けており、BtoC、BtoB、BtoG問わず様々なソリューションを提供しています。そうした中の1つが「健康マイレージ」です。
健康マイレージは、自治体向けに開発されたヘルスケア領域のソリューション。スマホやスマートウォッチなどを活用し、ウォーキングを通して地域住民の「健康と長生き」をサポートするもので、横浜市や山形市などをはじめ、2022年8月時点の累計で133の自治体が採用。約60万人のユーザーが日々利用している人気のサービスです。
この健康マイレージでは、住民が日頃“歩く”ことでポイントが付与され、それがモチベーションとなって運動が習慣化し、結果としてフレイルの予防やQOLの向上、医療費の削減、災害時の避難促進や日常生活での違和感検知といった成果を目指すものです。こうした機能に、今回開発された免疫力推定AIが追加されることになります。
免疫力推定AIは、住民が日頃利用するスマホから得られる各種データから免疫力の変化を推定・予測するというもの。具体的には、睡眠や運動情報、位置情報、生活習慣情報などを利用者の同意に基づいて取得、AIで分析し、本人が意識をしなくてもレポートすることができるというもので、分析結果はアプリ上で週ごとに提供。住民の健康に関する気づきを促します。
また、導入自治体は、分析結果にスコア低下が見られれば、住民の生活習慣からその低下要因を特定し、改善に向けてイベントへの参加誘導、健康指導の実施などの施策を打つことが可能になります。こうした取り組みを通して、地域の健康寿命を延伸し、高齢者が元気になればまちの活性化にもつながる、というものです。
今の世の中で最も警戒されているのは、新型コロナウイルス感染症の蔓延ですが、それが2023年5月8日に5類へと移行され、従来行われてきた対策も大きく変わり、対策の主体は自治体や個人へとシフトしています。そうした動きの中では、新型コロナだけでなく風邪やインフルエンザといった感染症が再び猛威を振るうリスクも高まりますが、そこでカギになるのが個人の免疫力の維持・向上です。
同社は、希望する自治体に対し、実証として免疫力推定AIの無償提供も予定しているとのこと。また、この免疫力推定AIを同社の「ヘルステック(HealthTech)基盤」にも実装し、同基盤上の他システムとAPI連携できるようにするとしています。未だコロナ禍にある社会の中で、住民の不安を軽減し、自治体の課題解決にも貢献してくれそうなこのサービス。地域の安心がまた1つ増えそうです。
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