認知症にはさまざまな種類がありますが、その中でも最も多いのは『アルツハイマー型認知症』です。
アルツハイマー型認知症は、物忘れや記憶障害からはじまり日常生活に支障をきたす病気です。
現時点で原因が明らかになっていないため、誰もが発症するリスクをもっています。
アルツハイマー型認知症のご家族を介護している方。
家族や知人で物忘れが増えたと感じている方。
そんな方たちのために、今回はアルツハイマー型認知症の予防や治療方法についてお伝えしていきます。
あなたも将来発症する可能性がある!アルツハイマー型認知症
日本は超高齢化社会。65歳以上の高齢者の人口は3300万人で、日本人の約4人に1人が高齢者になります。
高齢化社会に伴い増加しているのが、アルツハイマー型認知症です。
初期症状は物忘れからはじまり、進行してくると記憶障害が悪化して怒りやすくなったり、幻覚や妄想の症状が出現します。
やがてトイレに一人で行けなくなり、末期になると歩くのが困難となって寝たきり状態になり、家族の介護が必要となってきます。
実際に介護が必要となった原因として、認知症が全体の18%と多くを占めています。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」では、65歳以上の高齢者の6人に1人が認知症と言われています。
2025年には5人に1人になると予想されており、多くの人が認知症を発症するリスクを抱えているのです。
アルツハイマー型認知症の原因
アルツハイマー型認知症は、異常なたんぱく質が脳神経に付着することで、脳神経細胞が傷つき発症します。
発症前から匂いに関係する嗅覚神経が損傷され、徐々に記憶をつかさどる海馬へとダメージが広がり脳全体が萎縮し症状が進行していきます。
なぜ異常なたんぱく質が脳に付着するかは明らかになっていませんが、生活習慣やストレス・喫煙などが関係しているのではないかともいわれています。
また、30代~40代の若いうちに発症する『若年性アルツハイマー型認知症』では遺伝との関係性が考えられています。
根本的な治療法薬がない
2021年6月に米食品医薬品局(FDA)により、認知症の新たな治療薬として『アデュカヌマブ』が承認されました。
今までのアルツハイマー型認知症の治療薬は、症状をおさえるような薬しかありませんでした。
この新薬では、脳にたまっている異常なたんぱく質を取り除く事ができ、日本でも承認申請がされていて注目が集まっています。
しかし、臨床試験が完全ではないことや脳出血などの副作用のリスクがあることも問題となっているため、実際に活用できる日はまだまだ先になりそうです。
認知症予防キーワードは『におい』にある
上記でお伝えしたようにアルツハイマー型認知症には匂いをつかさどる『嗅覚神経』が関係しています。
日本認知症予防学会理事長の浦上教授の研究データによると、嗅神経と記憶に関係する海馬には再生能力があることがわかってきています。
つまり嗅神経を刺激することで、海馬や周辺の脳神経細胞の働きを活性化し、認知症の悪化を防ぐことができる可能性があるということです。
この特性をいかして、精油を用いたアロマテラピーによるケアが多くの医療機関や介護施設で導入されています。
近年では、認知症を発症する十年以上前から嗅覚が衰えてくるというデータをいかして、嗅覚検査から認知症のリスク判定をしている病院もあります。
再生医療『エクソソーム』が認知症に?
近年、再生医療分野で人気の高いエクソソームによる点鼻治療が、アルツハイマー型認知症の新たな治療法として注目を集めています。
点鼻治療とは、鼻の粘膜に直接薬剤を滴下する治療法のことです。
エクソソームは、細胞の修復・再生効果が高い成分です。
液体のエクソソームを鼻の中に滴下することで傷ついた脳神経細胞の修復を行い、認知症の症状改善を図ることができるのではないかと考えられています。
現段階ではほとんど副作用がなく、人由来な成分のため安心して使用することができると、さまざまな病気の治療に効果が期待されています。
新しい医療の在り方は『病気を予防すること』
一度アルツハイマー型認知症を発症してしまえば、なかなか元の体に戻ることは難しくなります。
そのため、家族のサポートが必要となり介護負担が強くなるケースがあります。
新しい治療法が確立すれば、アルツハイマー型認知症の辛い症状に悩まされている人や介護をしている家族の望みになるでしょう。
新薬の『アデュカヌマブ』や再生医療分野で効果が期待される『エクソソーム』による治療に今後の期待が高まります。
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